
GREAT IRANIANS · イラン暦の記念日
イランの暦に刻まれた
偉人たち
イランの公式の暦には、詩人や科学者、哲学者をたたえる日があります。サアディー、フェルドウスィー、ハイヤーム、イブン・スィーナー、ルーミー、ハーフェズ……。次に巡ってくる日から順に、18人の生涯と作品、そして日本との縁を紹介します。
THE CALENDAR OF GREAT IRANIANS
次に巡ってくる日から
今日からの近い順に自動で並びます。日付はイラン暦(太陽暦)から毎年計算されます。
アッタールعطار نیشابوری
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薬種商(アッタール)として店を営みながら、神の探求を物語詩にうたいました。ルーミーにも深い影響を与えたとされ、廟はネイシャーブールにあります。代表作『鳥の言葉(マンテク・オッテイル)』、『神の書』、『聖者列伝』日本語で読む黒柳恒男訳『鳥の言葉』(平凡社・東洋文庫、2012年)、佐々木あや乃訳注『神の書』ペルシアの詩
· イラン暦 ファルヴァルディーン月25日
サアディーسعدی
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長い旅ののち故郷シーラーズに戻り、教訓と機知に富む『果樹園』と『薔薇園』を書きました。この日は『薔薇園』の執筆が始まった日にちなみます。人類はひとつの体の手足だとうたう詩句は、国連本部に贈られた絨毯にも織り込まれています。بنیآدم اعضای یکدیگرند
که در آفرینش ز یک گوهرند(「人はみな互いの手足、同じ根から生まれた」という意味)代表作『薔薇園(ゴレスターン)』、『果樹園(ブースターン)』日本語で読む蒲生礼一訳『薔薇園(グリスターン)』(平凡社・東洋文庫、1964年)ペルシアの詩
· イラン暦 オルディーベヘシュト月1日
シェイフ・バハーイーشیخ بهایی
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サファヴィー朝の都エスファハーンで活躍した万能の学者。数学や天文学の書を著し、ザーヤンデ川の水を分ける仕組みなど、町づくりにまつわる多くの言い伝えが残ります。代表作『計算法精髄(ホラーサトル・ヘサーブ)』、随筆集『カシュクール』イランの世界遺産
· イラン暦 オルディーベヘシュト月3日 · 建築の日
フェルドウスィーفردوسی
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約30年をかけ、イランの神話・英雄伝説・歴史を約5万対句の叙事詩『王書』にまとめました。この作品がペルシア語を守り育てたとされ、彼の日は「ペルシア語を大切にする日」でもあります。廟はマシュハド近郊のトゥースにあります。代表作『王書(シャー・ナーメ)』日本語で読む黒柳恒男訳『王書』(東洋文庫、1969年)、岡田恵美子訳『王書 古代ペルシャの神話・伝説』(岩波文庫、1999年)ペルシア語を知るペルシアの詩
· イラン暦 オルディーベヘシュト月25日 · ペルシア語の日
オマル・ハイヤームحکیم عمر خیام
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三次方程式の研究で知られる数学者で、今のイラン暦のもとになったジャラーリー暦の改定にも加わりました。人生のはかなさと喜びをうたう四行詩(ルバーイー)は世界中で読まれています。代表作『ルバイヤート(四行詩集)』、代数学の論文日本語で読む小川亮作訳『ルバイヤート』(岩波文庫、1949年)はペルシア語からの直接訳ペルシアの詩イランの科学と思想
· イラン暦 オルディーベヘシュト月28日
モッラー・サドラーملاصدرا
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「存在」そのものを問い直し、哲学・神秘主義・神学を一つに結ぶ「超越哲学」を打ち立てました。イランの哲学は今もその流れの上にあります。代表作『四つの旅(アスファール)』イランの科学と思想
· イラン暦 ホルダード月1日
スフラワルディーشیخ اشراق
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光と闇の象徴で世界を語る「照明哲学」を開き、「照明の師(シェイフ・エシュラーグ)」と呼ばれます。36歳ほどの若さでアレッポで亡くなりました。代表作『照明哲学(ヘクマトル・エシュラーグ)』、ペルシア語の寓話集イランの科学と思想
· イラン暦 モルダード月8日
イブン・スィーナー(アヴィセンナ)ابن سینا
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『医学典範』は数世紀にわたりヨーロッパの大学でも教科書として使われました。哲学でも大きな体系を築き、誕生日のこの日はイランの「医師の日」です。代表作『医学典範(カーヌーン)』、『治癒の書(シファー)』日本語で読む五十嵐一の訳・解説で『科学の名著』シリーズ(朝日出版社、1981年)に抄訳イランの科学と思想
· イラン暦 シャフリーヴァル月1日 · 医師の日
ラーズィーرازی
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病院を率いた臨床医で、天然痘と麻疹(はしか)を初めて区別して記録した人物として知られます。実験を重んじた化学者でもありました。代表作医学全書『ハーウィー』、『天然痘と麻疹について』イランの科学と思想
· イラン暦 シャフリーヴァル月5日 · 薬剤師の日
ビールーニーابوریحان بیرونی
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山の上から地平線の角度を測って地球の半径を計算し、インドの言語や宗教、暦を現地で学んで記録しました。この日は彼の誕生日にあたります。代表作『インド誌』、『古代諸民族年代記』、『マスウード宝典』イランの科学と思想
· イラン暦 シャフリーヴァル月13日
シャフリヤールشهریار
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ペルシア語とアゼルバイジャン・トルコ語の両方で詩を書いた、20世紀イランを代表する詩人です。命日のこの日が「詩と文学の日」になりました。タブリーズの詩人廟に眠ります。代表作『ヘイダルバーバーへの挨拶』、ペルシア語詩集ペルシアの詩
· イラン暦 シャフリーヴァル月27日 · ペルシアの詩と文学の日
ルーミー(モウラヴィー)مولوی
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学者だった彼は、放浪の神秘家シャムセ・タブリーズィーとの出会いで詩人に生まれ変わりました。2万5千を超える対句の『精神的マスナヴィー』は、ペルシア語のコーランとも呼ばれます。代表作『精神的マスナヴィー』、『シャムス詩集』、語録『フィーヒ・マー・フィーヒ』日本語で読む井筒俊彦訳『ルーミー語録』(岩波書店、1978年)ペルシアの詩
· イラン暦 メフル月8日(前日7日はシャムセ・タブリーズィーの日)
ハーフェズحافظ
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愛と酒、自由な信仰をうたう抒情詩(ガザル)の頂点。イランでは多くの家庭に詩集があり、本を開いて詩で占う「ハーフェズ占い」はヤルダーの夜の楽しみです。ゲーテの『西東詩集』にも霊感を与えました。代表作『ハーフェズ詩集(ディーヴァーン)』日本語で読む黒柳恒男訳『ハーフィズ詩集』(平凡社・東洋文庫、1976年)ハーフェズの詩占いペルシアの詩
· イラン暦 メフル月20日
ベイハギーبیهقی
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ガズナ朝の宮廷書記として見聞きしたことを、生き生きとした描写で歴史書にまとめました。その文章はペルシア語散文の模範とされています。代表作『ベイハギー史』イランの歴史
· イラン暦 アーバーン月1日
ファーラービーفارابی
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アリストテレスに次ぐ「第二の師」と呼ばれた哲学者。理想の国家を論じ、音楽の理論書でも知られます。代表作『有徳都市の住民がもつ見解の原理』、『音楽大全』イランの科学と思想
· イラン暦 アーバーン月30日
ナスィールッディーン・トゥースィーخواجه نصیر
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モンゴル時代のマラーゲに大天文台を築き、新しい天文表を完成させました。三角法を独立した学問にまとめ、天体の動きを説明する「トゥースィーの対円」でも知られます。代表作『イル・ハン天文表』、『ナースィルの倫理学』イランの科学と思想
· イラン暦 エスファンド月5日 · 技術者の日
ネザーミー(ニザーミー)نظامی
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ペルシア語の恋愛物語詩を完成させた詩人。王と王妃の愛を描く『ホスローとシーリーン』や、悲恋の『ライラとマジュヌーン』を含む「五部作」は、のちの詩人や細密画家に大きな影響を与えました。代表作『五部作(ハムセ)』:『ホスローとシーリーン』『ライラとマジュヌーン』『七王妃物語』など日本語で読む岡田恵美子訳『ホスローとシーリーン』『ライラとマジュヌーン』(ともに平凡社・東洋文庫)ペルシアの詩
· イラン暦 エスファンド月21日
パルヴィーン・エテサーミーپروین اعتصامی
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近代イランを代表する女性詩人。ものや動物どうしが語り合う「問答詩」で、貧しい人々への思いやりや正義をやさしい言葉でうたいました。この日は彼女の誕生日です。代表作『パルヴィーン詩集』ペルシアの詩
· イラン暦 エスファンド月25日
イラン暦の日付を日本時間で西暦に換算しています。記念日は祝日ではありません。
WHY A CALENDAR OF NAMES
詩人の日がある国
イランでは、詩は本棚の中だけのものではありません。結婚式でも、日々の会話でも、ハーフェズやサアディーの一節が自然に口をついて出ます。だからこそ公式の暦にも、偉大な詩人や学者の名を冠した日が並んでいます。
こうした記念日の多くは、文化行政を担う国の評議会が定め、毎年の公式カレンダーに記されています。当日には生誕地や廟で式典や朗読会が開かれ、学校や大学でも講演が行われます。イブン・スィーナーの日は「医師の日」、ナスィールッディーン・トゥースィーの日は「技術者の日」として、職業の記念日とも結びついています。
廟(アーラームガー)は多くの人が訪れる場所です。シーラーズのハーフェズ廟やサアディー廟、トゥースのフェルドウスィー廟、ネイシャーブールのハイヤーム廟とアッタール廟、ハマダーンのイブン・スィーナー廟は、夕方になると家族連れや若者でにぎわいます。
READ THEM IN JAPANESE
日本語で読めるペルシアの古典
本の背をクリックすると、翻訳の情報が表示されます。
小川亮作訳、岩波文庫、1949年。ペルシア語原典からの訳。
岡田恵美子訳『王書 古代ペルシャの神話・伝説』岩波文庫、1999年。黒柳恒男訳(東洋文庫、1969年)も。
蒲生礼一訳『薔薇園(グリスターン)イラン中世の教養物語』平凡社・東洋文庫、1964年。
黒柳恒男訳、平凡社・東洋文庫、1976年。
井筒俊彦訳、岩波書店、1978年。
黒柳恒男訳、平凡社・東洋文庫、2012年。代表作の本邦初訳。
岡田恵美子訳、平凡社・東洋文庫。同じ訳者の『ライラとマジュヌーン』(1981年)も。
五十嵐一 訳・解説、朝日出版社、1981年(抄訳)。
日本では、明治・大正期にハイヤームの四行詩が英訳から紹介され、戦後はペルシア語から直接訳す研究者たちが現れました。東京外国語大学や大阪外国語大学(現・大阪大学)を中心に、多くの古典が日本語になっています。
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