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細い毛糸と絹で、ボテ(ペイズリー)を一段ずつ織り出すテルメ。金銀の糸を織り込むザリー、深い毛足のマフマル(ビロード)。砂漠の都市ヤズドやカーシャーンで磨かれた、イランの「織り」の世界へ。
テルメ(ترمه)は、細い毛糸や絹を使い、色糸で模様を織り出すイランの高級織物です。
ガラムカールが布に模様を捺すのに対し、テルメは糸そのものの組み合わせで模様を織り出します。そのため裏にも模様の糸が通り、厚みと重みのある、しっとりした布になります。
いちばん有名な文様はボテ・ジェゲ(ペイズリー)。深い赤(ラーキー)、緑、黒、クリーム色の地に、大小のボテが連なります。
伝統的な手織りのテルメは一日にわずかしか進まず、とても貴重です。現在は機械織りのテルメも広く作られ、日常の品として親しまれています。
経糸の間を緯糸が一段ずつ行き来し、色糸が浮き沈みして模様ができていきます。地の色も選べます。
ゆっくりスクロールすると、一段ずつ織り進みます。
細い毛糸と絹糸を用意し、地の色と模様の色に染め分けます。
何千本もの経糸を、均一な張りで織機に掛けます。
色ごとに糸を浮かせ、沈め、一段ずつ模様を織り出します。伝統的な織機では、模様の糸を引く助手と二人で織ることもありました。
織り上がった布を整え、縁をかがって、ソフレや掛け布、衣服に仕立てます。
イランの高級織物には、いくつもの種類があります。
毛と絹で模様を織り出す布。ヤズドが中心で、ボテ文様が代表的です。
金や銀を巻いた糸を織り込んだ豪華な絹織物。サファヴィー朝で最盛期を迎えました。
輪奈を切って毛足を立てる織物。カーシャーンの花や人物のビロードが有名です。
糸を括って染め分けてから織る、ぼかしの美しい絹。ヤズドの伝統です。
連珠円の中に動物や騎馬の狩人を置く文様は、シルクロードを通じて東西に広まり、日本の宝物にも影響を残しました。
ヤズド出身の織物の名匠ギヤースッディーン・アリー・ナグシュバンドは、絵画のような絹やビロードを生み出し、作品に名を織り込みました。
イスファハーン、カーシャーン、ヤズドなどで、花や詩の物語を織り出した絹、ビロード、金襴が作られ、世界に輸出されました。
ガージャール朝期には、テルメや毛織の肩掛けが衣服や贈り物として珍重されました。
ヤズドでは手織りの技が受け継がれる一方、機械織りのテルメが日用品やお土産として広く親しまれています。
結婚の儀式で広げる飾りのソフレ。テルメはその定番の布です。
ノウルーズ(新年)に「S」で始まる七つの品を飾る卓。テルメを敷く家庭も多くあります。
テーブルクロス、クッション、壁掛け、本や箱の装丁。大切な人への贈り物にも選ばれます。
奈良・法隆寺に伝わる7世紀の「四騎獅子狩文錦」は、連珠円の中で騎馬の王が振り返って獅子を射る、ササン朝ペルシアの意匠を色濃く伝える錦です。ペルシアの文様は、シルクロードを越えて日本まで届いていました。
ボテから生まれたペイズリーは、日本でもネクタイや手ぬぐい、着物の帯まで、身近な文様になっています。
正倉院の宝物とペルシアのつながりは、テーマ「正倉院とペルシア」で詳しく紹介しています。
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