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こんにちは、イラン
Nowruz · 暮らし・祝祭

ノウルーズنوروز

「新しい日」という名の、イランの新年。春分の瞬間に年が改まり、家族は七つの「S」を並べた食卓を囲みます。三千年をこえて受け継がれてきた、春を迎える祝祭へ。

春分の瞬間に新年ユネスコ無形文化遺産国連「国際ノウルーズの日」3月21日
ハフトスィーンの食卓
What is Nowruz

春分の一瞬に、年が改まる

ノウルーズ(Nowruz)はペルシア語で「新しい日」。イランで使われる太陽暦(ヒジュラ太陽暦)では、太陽が春分点を通過する瞬間が一年の始まりです。この瞬間を「サール・タフヴィール(年の引き渡し)」と呼び、その日が新年最初の月ファルヴァルディーンの1日になります。

瞬間が深夜であっても、早朝であっても、家族はその時刻に合わせて食卓を囲みます。日本では毎年3月20日か21日の「春分の日」前後にあたります。

ノウルーズの起源はイスラーム以前の古代イランにさかのぼるとされ、叙事詩『シャー・ナーメ』は伝説の王ジャムシードがこの日を定めたと語ります。11世紀の学者ビールーニーも、ノウルーズの習わしを書き残しています。宗教や民族をこえて祝われ、今もイランで最も大切な祝祭です。

イランの暦を見る →

次の「年が改まる瞬間」まで
–日

時刻は天文計算による目安です。正式な時刻はイランの暦の発表をご確認ください。
春の花
Haft-sin

七つの「S」が並ぶ食卓

ペルシア語の「スィーン(S)」で始まる七つの品を並べるのがハフトスィーン。写真の光る点にふれると、それぞれの意味が現れます。

上から見たハフトスィーンの食卓

ほかにも鏡(自分を見つめ直す)、金魚(命の躍動)、ヒヤシンスの花などがよく飾られます。並べ方に決まりはなく、各家庭の工夫が見どころです。

Two weeks of Nowruz

大掃除から野原のピクニックまで

ノウルーズは一日だけの行事ではありません。年末の準備から新年13日目まで、約一か月にわたって季節がめぐります。横にスクロールしてご覧ください。

年末(エスファンド月)

ハーネ・テカーニー(大掃除)

خانه‌تکانی

「家をゆさぶる」という名の大掃除。じゅうたんを洗い、新しい服を用意して、まっさらな気持ちで新年を待ちます。

新年の約2週間前

サブゼを育てる

سبزه

麦やレンズ豆を水に浸し、皿の上で芽吹かせます。新年までに青々と伸びるよう、毎日水をやります。

最後の水曜日の前夜

チャハールシャンベ・スーリー(火の祭り)

چهارشنبه‌سوری

一年最後の火曜日の夜、焚き火を跳び越えながら「私の青ざめた色はあなたに、あなたの赤い色は私に」と唱え、病や疲れを火に託します。

ファルヴァルディーン月1日

サール・タフヴィール(年の瞬間)

سال تحویل

家族全員がハフトスィーンを囲み、新しい年を迎える祈りの言葉を唱えます。瞬間が来ると抱き合ってお祝いを言い合い、年長者が「エイディー(お年玉)」を配ります。

新年の最初の日々

ディード・オ・バーズディード(年始回り)

دید و بازدید

まず祖父母など年長者の家を訪ね、次に親戚や友人へ。どの家でも紅茶、菓子、果物、ナッツでもてなされます。

ファルヴァルディーン月13日

スィーズダ・ベダル(自然の日)

سیزده‌به‌در

新年13日目は家の外で過ごす日。公園や野原でピクニックをし、育てたサブゼを川に流して、ノウルーズを締めくくります。

窓辺のハフトスィーンを囲む老夫婦
年長者の家を訪ねる「ディード・オ・バーズディード」から、新年の訪問が始まります
クルディスタン地方マハーバードでノウルーズの火を囲む人びと
クルド地方では、ノウルーズに火を焚いて春を迎えます(マハーバード)
公園でのスィーズダ・ベダル(テヘラン)
スィーズダ・ベダル、テヘランの公園で
Festive food

新年の食卓

ノウルーズの料理には、春の香草がたっぷり使われます。緑は再生の色です。

سبزی‌پلو با ماهی

サブズィー・ポロ・バー・マーヒー

香草を炊き込んだご飯と魚。大晦日の夜や新年に食べる定番です。

کوکو سبزی

クークー・サブズィー

香草をたっぷり入れた厚焼きの卵料理。ピクニックにも持っていきます。

رشته‌پلو

レシュテ・ポロ

麺を炊き込んだご飯。「人生の糸口をつかむ」ように、新年最初の日に食べる家庭もあります。

شیرینی نوروزی

ノウルーズの焼き菓子

米粉の「ナーネ・ベレンジー」、ひよこ豆粉の「ナーネ・ノホドチー」など、来客用の菓子が並びます。

Nowruz around the world

シルクロードに広がる春の祝祭

ノウルーズはイランだけの祝日ではありません。中央アジア、コーカサス、西アジア、南アジアの広い地域で、ナウルズ、ノヴルズなどの名前で祝われています。

2009ユネスコ無形文化遺産に登録
2010国連総会が「国際ノウルーズの日」を制定
3/21国際ノウルーズの日
2016共同申請国を12か国に拡大

2016年の拡大登録に加わった国々

アフガニスタンアゼルバイジャンインドイランイラクカザフスタンキルギスパキスタンタジキスタントルコトルクメニスタンウズベキスタン

その後2024年にも登録が更新され、さらに多くの国が加わりました。

Japan connection

日本のお正月とくらべてみる

暦の考え方は違っても、新しい年を迎える気持ちはよく似ています。

春分の日⇄サール・タフヴィール

日本では祝日の「春分の日」が、イランでは新年そのもの。同じ天文の瞬間を、二つの国が祝います。

大掃除⇄ハーネ・テカーニー

どちらも年末に家を清め、まっさらな気持ちで新年を迎えます。

お年玉⇄エイディー

年長者から子どもへ。新札をそろえて渡すのも共通しています。

年始回り⇄ディード・オ・バーズディード

親戚やお世話になった人を訪ねる習慣。イランでは数日間、訪問が続きます。

お花見⇄スィーズダ・ベダル

春の野外で家族や友人と食事を楽しむ。季節を味わう心が重なります。

正月飾り⇄ハフトスィーン

縁起物を並べて一年の幸せを願う。鏡餅とサブゼは、ともに家に置く「願いのかたち」です。

Little glossary

ノウルーズのことば

カードにふれると、意味が現れます。

Q&A

よくある質問

ノウルーズは毎年同じ日ですか?

春分の瞬間で決まるため、西暦では3月20日か21日になり、年によって時刻も変わります。イランの暦では、いつもファルヴァルディーン月1日です。

宗教行事ですか?

古代イランにさかのぼる文化的な新年で、宗教や民族をこえて祝われます。イスラームが広まった後も受け継がれ、サール・タフヴィールに祈りの言葉を唱える家庭も多くあります。

お祝いの言葉は?

「ノウルーズ・モバーラク(ノウルーズおめでとう)」「サーレ・ノウ・モバーラク(新年おめでとう)」と言えば、とても喜ばれます。

日本でもハフトスィーンを作れますか?

はい。サブゼは小麦やレンズ豆を湿らせた布や皿の上で育てれば、1〜2週間で芽吹きます。リンゴ、ニンニク、酢はスーパーで、スマックやサマヌーは輸入食品店で見つかることがあります。