
RAMADAN · ヒジュラ暦の第9月
ラマダーンشَهْرُ رَمَضَان
夜明けから日没まで、食べ物も水も口にしない一か月。けれどイランのラマダーンは、我慢の月である以上に、家族や隣人と食卓を囲み、夜を語り明かす「もてなしの月」です。その一日と、東京での断食の時刻をご案内します。
ラマダーンは、月の満ち欠けにもとづくヒジュラ暦の第9月です。この月、イスラーム教徒は夜明けから日没まで、食べること、飲むこと(水も含みます)、喫煙などを断ちます。断食(ペルシア語で「ルーゼ」)は、信仰の柱の一つとされる大切な務めです。
クルアーンがはじめて下された月でもあり、人々はいつも以上にクルアーンを読み、祈り、貧しい人に施します。空腹を知ることは、食べ物のない人の気持ちを知ること。自分を律し、心を清める一か月です。
ヒジュラ暦は1年が約354日のため、ラマダーンは西暦では毎年約11日ずつ早まり、約33年で四季を一巡します。2027年は冬の終わり、2月上旬から3月上旬にあたります。
信仰する者よ、あなたがた以前の者に定められたようにあなたがたに斎戒が定められた。恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。クルアーン 雌牛章 第183節(日本ムスリム協会訳)
WHO FASTS
断食をしなくてよい人
断食は、成人した健康なイスラーム教徒の務めです。無理をさせないための例外が、はっきり定められています。
病気の人
断食で体を損なうおそれがある人。回復後に、同じ日数を補います。
旅の途中の人
一定以上の距離を旅している人。帰ってから補います。
高齢の人
断食が大きな負担となる人。代わりに貧しい人に食事を施すことがあります。
妊娠中・授乳中の人
自分や子どもの体に障るおそれがあるとき。
月経中・産後の女性
その期間は断食せず、後日に補います。
子ども
義務はありません。イランでは、半日だけ断食する「すずめの頭の断食(ルーゼ・カッレ・ゴンジシュキー)」で練習する子もいます。
細かな規定は、それぞれが従う宗教学者の見解によって異なります。
A DAY OF RAMADAN
イランのラマダーン、ある一日
時刻はテヘランの冬の例です。季節と場所によって大きく変わります。
4:30夜明け前サハリー
家族そろって起き、夜明け前の食事をとる。
サハリー
家族そろって起き、夜明け前の食事をとる。
ご飯や煮込み、パンとチーズ、ナツメヤシ、たっぷりの水と紅茶。テレビやラジオからは夜明け前の祈りの朗誦が流れ、街は静かに目を覚まします。
5:30夜明け断食のはじまり
夜明けのアザーン(礼拝の呼びかけ)とともに断食に入る。
断食のはじまり
夜明けのアザーン(礼拝の呼びかけ)とともに断食に入る。
その少し前の「エムサーク」で食事を終え、夜明けの礼拝を行います。
10:00日中いつもより静かな街
役所の勤務時間が短くなり、食堂の多くは日没まで閉まる。
いつもより静かな街
役所の勤務時間が短くなり、食堂の多くは日没まで閉まる。
人前で飲食をしないのが決まりです。モスクでは毎日クルアーンを30分の1ずつ読み進める「ジョズ・ハーニー」が開かれ、月末に全巻を読み終えます。
16:00夕方エフタールの買い出し
焼きたてのパンと、甘いズールビヤー・バーミエの店に行列。
エフタールの買い出し
焼きたてのパンと、甘いズールビヤー・バーミエの店に行列。
ラマダーンになると菓子店の店先に、蜜に浸した揚げ菓子が山と積まれます。台所では大鍋のアーシュ・レシュテが煮えはじめます。
18:00日没後エフタール
マグリブのアザーンで断食を解く。
エフタール
マグリブのアザーンで断食を解く。
まずナツメヤシの実と温かい紅茶やお湯で胃を落ち着かせ、礼拝のあとで食卓を囲みます。モスクや街角では、誰にでも簡単なエフタールがふるまわれます。
21:00夜にぎやかな夜
親戚や友人を招き合い、夜遅くまで語り合う。
にぎやかな夜
親戚や友人を招き合い、夜遅くまで語り合う。
ラマダーンの夜は一年でもっとも人が行き来する季節の一つ。エフタールに人を招くことは、大きな功徳とされています。
THE IFTAR TABLE
イランのエフタールの食卓
ナツメヤシの実(ホルマー)
預言者にならい、最初のひと口はナツメヤシ。南部ブーシェフルやケルマーンは名産地です。
紅茶とお湯
空っぽの胃をやさしく温める一杯。サモワールが一晩じゅう湯気を立てます。
アーシュ・レシュテ
豆と香草、麺を煮込み、乳製品のキャシュクをのせた濃いスープ。
ズールビヤーとバーミエ
揚げてシロップに浸した、ラマダーンを代表する甘い菓子。
ハリームとショレザルド
麦と肉の粥ハリーム、サフランの甘い米ショレザルド。
パン・チーズ・香草
焼きたてのパンに白チーズとミントやバジル、くるみを添えて。
TOKYO · IFTAR & SAHAR
東京のエフタールとサハリーの時刻
イランで使われている方式で、ページの中で自動計算しています(目安)。
LAYLAT AL-QADR
カドルの夜 — 千の月よりも尊い夜
クルアーンが下された夜とされ、イランではラマダーン月19・21・23日の前夜に、人々が夜通し祈ります。
みいつの夜は、千月よりも優る。クルアーン みいつ章 第3節(日本ムスリム協会訳)
19夜最初のカドルの夜
イマーム・アリーが礼拝中に襲われた日。
最初のカドルの夜
イマーム・アリーが礼拝中に襲われた日。
ヒジュラ暦40年のこの日の夜明け、第一代イマーム、アリーはクーファのモスクで礼拝中に刃を受けました。喪とカドルの祈りが重なる夜です。
21夜イマーム・アリーの殉教
2日後の21日、アリーは息を引き取った。
イマーム・アリーの殉教
2日後の21日、アリーは息を引き取った。
正義の人として敬われるアリーを偲び、イランでは21日が祝日(休日)です。墓所はイラクのナジャフにあります。
23夜もっとも尊いとされる夜
シーア派の伝承では、カドルの夜である可能性がもっとも高い夜。
もっとも尊いとされる夜
シーア派の伝承では、カドルの夜である可能性がもっとも高い夜。
モスクや聖廟は夜明けまで人であふれます。
エフヤー(夜通しの祈り)
夜明けまで眠らず、祈りとクルアーンの朗誦を続けます。
クルアーンを頭上に
クルアーンを頭上に掲げ、神の名を唱えて赦しを願う儀礼。
ジョウシャン・カビール
神の千の名を唱える長い祈り。カドルの夜に皆で朗誦します。
GALLERY
祈りの夜
THE END OF THE MONTH
ゴドスの日と、断食明けの祭り
ゴドスの日(ラマダーン最後の金曜日)
1979年にイマーム・ホメイニーが呼びかけた、エルサレム(アラビア語で「アル=ゴドス」)とパレスチナの人々への連帯の日。イラン各地で大規模な行進が行われます。
断食明けの祭り(エイデ・フェトル)
シャウワール月1日。朝の祭りの礼拝に大勢が集い、家族を訪ね合います。イランでは1日と2日が祝日です。
フェトリエ(断食明けの施し)
祭りの日、家族一人ひとりについて主食約3キロ分(またはその金額)を貧しい人に施します。毎年、金額の目安が発表されます。
あいさつ
祭りの日は「エイデ・フェトル・モバーラク(おめでとう)」、ラマダーン中は「タアーアート・ガブール」と声をかけ合います。
KEY DATES
次のラマダーンの主な日
次に巡ってくる日付を自動で表示しています(西暦・日本時間)。
ラマダーン月1日 · 断食のはじまり
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19日 · 最初のカドルの夜
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· 前夜に祈ります
21日 · イマーム・アリーの殉教
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· 前夜がカドルの夜
23日 · カドルの夜
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· 前夜に祈ります
シャウワール月1日 · 断食明けの祭り
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ウンム・アル=クラー暦による計算です。イランでは月の観測で決まるため、1日前後することがあります。ゴドスの日(ラマダーン最後の金曜日)は上の時刻表に表示しています。
ETIQUETTE
ラマダーン中にイランを訪れるなら
人前での飲食は控えて
日中、道や車内での飲食・喫煙は控えましょう。旅行者もこの決まりの対象です。ホテルの中では食事ができます。
エフタールの招待は喜んで
イスラーム教徒でなくても歓迎されます。手みやげに菓子や果物を持っていくと喜ばれます。
予定は夜に
日中は店や役所の時間が短く、街が本当ににぎわうのは日没後です。
ひと言のあいさつを
「タアーアート・ガブール」と声をかければ、きっと笑顔が返ってきます。
QUESTIONS





